ハロー・グッバイ#2






「仁王、赤也の教室行こうぜぃ。」
「よかよ。なんか用でもあるんか。」
「まあ、ちょっとな。」






◇






「、ご飯食べよ!」
「うん、食べよ!」


机を動かしと向えあわせの形をとる。
は昨日できた友人で、席が前後になった仲。
もともと人見知りをしない性格なあたしだけど、とはかなり同調するみたいで、
たった2日でとても仲良くなった。本当よ?
そして今、こうしてお昼を一緒に食べている。


「どう?立海には慣れた?」

がウインナーを一口齧(かじ)るとあたしに聞いた。

「慣れた…って言ってもまだ2日しか経ってないんだよ?」
「でも女子とは殆ど話したんでしょ?」
「うん、皆が話し掛けてくれたからね。」

あたしはそう言い、卵焼きを食べた。うん、美味しい。
はふふっと笑い、思い出したようにあたしに言った。

「そういえば他のクラスの男子がの噂をしてたよ。『もの凄い美人が来た!』ってさ。」
「物凄い美人って……過大評価しすぎじゃない?ま、ありがたいけど。」
「変な男に注意しなさいよ〜。」
「はいよ。もね。」

そういってあたしももご飯を口に運ぶ。
うん、お母さん手作りの弁当はやっぱり美味しい!なんてね。








ふと、気付いた。視線の中にいるクラスの女の子がそわそわしている。
というか、嬉しそうだ。とのおしゃべりに夢中で気付かなかった。
辺りをよく見るとみんな皆一点を見つめているよう。

あたしはその視線の先を探した---教室前方のドアだ!

「赤也!」

ドアの傍から声が聞こえた。
そこにいたのは赤い髪と白い髪の男の子。
二人は堂々と教室に入りその赤也(って誰?)のもとへ行く。

(ああ、赤也って切原のことなのか)

二人が切原のもとに言ったことで赤也が誰なのか判った。
となると二人は切原の友達か何かだろうか。


切原はあたしとの方を指差す。
丁度切原達を見ていた所為で切原と目が合った。咄嗟に目を逸らす。
まあいいや、あたしには関係ない。お弁当を食べることに集中しよう。
何もなかったかのように、お弁当を口に運んだ。


ご飯を噛みながら思った。どうやらあの二人組は人気者?らしい。
特に女子の反応は尋常じゃない。

(ま、関係ないけど)

そう思いながら、今朝コンビニで買ったピーチティー(のお薦めらしい)を飲んだ。






「なあ。」



急に誰かに声を掛けられた。
ゆっくりとあたしは振り向く。






◇






「赤也!」

噂の転校生を見に教室に来た俺と仁王。つっても仁王は付き添いだけど。
赤也の名前を呼ぶとパンを頬張っていた奴が俺に顔を向ける。
俺と仁王は教室に入り赤也の座っている場所へと移動した。

「何スか?」
「噂の美女、どこ?」

そう、今日の目的はそれだ。その子に唾をつけに来た。

「ああ、それなら---」

赤也は指で教室の端にいた女子二人組みを指す。

「あそこに手前にいる方っス。」
「サンキュ。」


赤也の言った通り、そこに向って歩く。教室の角、向い合わせの二人組み・・・っと。
俺に背を向けている彼女に声をかけた。

「なあ。」

その子が振り返る。





(…!?)





俺は言葉を失った。




なんだろう、なんて言えば良いんだろう。
ど真ん中ストレート。うん、これが一番いい。
彼女の顔はモロに俺のタイプだった。別に顔で選ぶわけじゃないぜ。
でも、本当に可愛かった。本能的にビビッときたんだ。


「なんですか?」


彼女の言葉でふっと我に帰る。
頭上に疑問符を浮かべるちゃん(赤也に聞いた)に俺は微笑んだ。


「お前、転校生のちゃんだろぃ?」
「そうですけど。」
「へえ。やっぱ噂通り可愛い子だなっ。」


極上のスマイルをちゃんに向ける。
クラスにいた女子生徒は幾人かが「キャア」という黄色い声を挙げた。
別にお前らに可愛いって言っている訳じゃねえんだけど。
ただ、この女---はどうも違うらしい。ただジッと俺を睨みつけてくる。



そして静かに口を開いた。




「あなた誰?」












    
(080128)