やべ、俺って本当天才的。





勢いで好きなこの手を握るとか、なかなか出来ないだろぃ?










スキダカラ










俺ら(俺と)のまえにあるのは、人人人人・・・。人のみ。


なんてったって、が面白そうといった“ツェペフル”というアトラクションは50分待ち。

そんなに人気のやつなのか?そんなに楽しいのか?って事が脳裏を過ぎるけど、





隣にが居るんだから------楽しいに決まってるだろぃ?







「にしても、50分待ちとかすげえ人気だな。」



「そうだね、でも、さっき通った“スパーライトコースター”は1時間半待ちだったよ。」



「い、一時間半?!…50分なんて、まだまだ甘いもんだな。」



「ふふ、そうだね。」






爽やかに笑うは、本当可愛い。

それはもう、春風のようで、イメージカラーはピンクで決まり!

いや、水色ってのもありかも。






50分なんてすっごく長く感じだけど、
きっとあっと言う間に過ぎていってしまうに決まっている。

「50分も待つのは嫌」なんて言う女も居るかもしれないけど、裏を返せば50分も一緒に居られるってこと。

そして、何より、の左手を俺の右手が握っているって事が幸福すぎる。




やべえ、今の俺絶対鼻の下伸びてるな。






「達、今何処にいるんだろうね。」



ふと、思い出したようには言った。
そっか、俺はと赤也の心配なんかあいつ等には悪いがこれっぽっちもしてなかった。

は---気になるのかな?





「そうだなぁ、さっき言ってた“恐怖堂”ってやつにでも入ってるんじゃねえか?」


「そういえば、行きたいって言ってもんね。」


「多分、終わってるだろうな。俺らが並んで30分は経ってるし。」


「じゃあ、違う所にならんでるかな…。」


「いや、多分飯でも食ってるんじゃね?



 赤也は食い盛りだから。」





ヘヘッと冗談っぽく言ったら、も「そうかもっ。」と笑った。
なんだ、ちょっとイイ雰囲気じゃねえ?






---悪いが赤也、俺はまだと遊ぶつもりだから、


お前はとわいわい騒いで居てくれ。











□□□










「あ゛ーーー、気持ち悪い!!」





俺の声がフードコートに響く。でも、ここは遊園地。

アトラクションの明るいバックミュージックで俺の声は簡単にかき消されてしまう。





「そんなに叫ばないでよ。あんなの全部人工的に作られたものなのよ?」


「ダカラと言って、あれは怖すぎっスよ!
 しかも途中にコンニャクなんつー、安っぽい仕掛に驚いたなんて…あ゛ー!恥じだ!!」


「本当、あんなのに驚いてるなんて、切原くんもまだまだね。」


「先輩が平然とし過ぎなんスよ。」


「だって、それ程怖くないんだもん。」

先輩は、ズーっとストローで烏龍茶を飲んだ。






正直驚いた、前から先輩は普通の女と一味違うと思っていたが。
お化け屋敷には言っても、「キャー!」とも「コワイー!」とも言わないなんて。



普通の女は言うだろ?そして、男の腕にしがみ付くもんだろ?




(別に、俺はしがみ付いて欲しいなんて思ってないけど。)





“恐怖堂”で冷静に、「ギャー!」なんて言っていた俺と違って
「うわ、ビックリした。」なんて言ってスタスタと行ってしまう先輩。
俺は先輩に引きずられるように、歩いていった。



あれじゃ、お化け役の人が可哀想だろ?



ただ、顔は平然としてたけど、俺の手をしっかり握っていたのは知ってる。
「一緒にゴールしなきゃ行けないから」、なんて言って、俺の手を握っていた。




ねえ、先輩、ちょっとだけ怖かったんでしょ?

そして、ちょっとだけ怖がってた先輩もちょっとだけ、可愛かったですよ?




(なんて、死んでも言えねえけど。)










先輩に向かい合う状態でホワイトソーダ(別名カ○ピスソーダ)をストローで飲む俺。



「うわっ、グッ…ゴホッゴホッ。」


「だ、大丈夫?!切原くん?!」


「だ、大丈夫っス…。」


やべえ、咽(むせ)た。カッコわりい…。
てゆうか、このジュース…



「…ゲロ甘い。」


「は?何が?」


「このジュース…超甘いっス…。」




後悔。選ばなきゃよかった。原液の味が強すぎて超甘い。


(あー、口の中が気持ち悪い!!)



先輩は不可解な顔をした。俺の顔を見てしかめっ面をしている。
単純に、このジュースが口に合わないだけ何スけど。




「そんなに不味い?」


「不味いっていうか、カナリ甘いっス。」


「へえ、ちょっと飲んでみてもいい?」


「あ、はい------っつ?!」





俺の------ジュースを飲んだ。
しかも、同じストロー……。








「んー?そんなに甘い?あたしは平気だよ。」

「・・・・・・。」

「…?ボーっとしてどうしたの?」

「すすす、ストロー…。」

「・・・あ。ごめんね!私全然そんなの気にしないタイプでさ!

 新しいの貰ってくるからちょっと待ってて!」





ガッと椅子を引き、売店へと駆けて行く先輩を俺はただ、見ていた。

ちょっと、ビックリした。そして、ドキドキした。





(狙って、やったのかと思ったじゃん。)





先輩が俺のストローを使うのを止めることも出来ただろうに、



何故か

何故か


止めたいとは思わなかった。

















---カァァァ///////







一気に顔が赤くなっていく。







何で俺、止めなかったんだ!?
ちょっとだけ、間接キスしてもいいかな、なんて思ったのか?



(馬鹿か、自分。どうかしている。)












丁度、新しいストローを持って帰ってきた先輩が見えた。


「ごめんね、切原くん。はい、どうぞ。」

「あ、…どもっす。」





顔は明後日の方向を見て、手だけで受け取る。

気恥ずかしくて、先輩の顔を直視できなかった。







(・・・今日一日、意識しちまうじゃん。)












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きっかけは些細な事なのに。
恋の入口は色んな所に転がってると思います。
ブン太は幸せそうだな。笑。
[2007/5/5  piyo]