Bコートのベンチを見たら、あの子がいた。










スキダカラ










其処に座っていたのは切原赤也くんとその友達。



救急箱を持って彼等の前に現れると、
切原くんは如何にも嫌な顔をした。(その友達は普通だったけどね)







「えーと、トゲ刺さったのどっち?」






「・・あっ・・・俺っす。こっちの指なんですけど・・・」
切原くんの友達がおずおずと申し出てきた。







彼の手をとって、指を見る。







「あー、結構大きなトゲだからすぐ取れるかな。痛くても泣かないでね。」



なーんて、冗談を言ったら「泣きませんよ!そんなことで。」なんて返事が返ってきた。

うん、若々しくていい返事だね。












* * *










「はい。これで取れたと思うよ。ばんそうこう剥れたらまたあげるから言ってね。」






「ありがとうございました!」そういって、彼はBコートへと入っていく。

ところが、切原くんは一向に動こうとしない。









「・・・・・君はコート入らないの?」











「疲れたんで。」









(なんて無愛想な返事だ。)そう思ったが、「そう。」とだけ言って、部室に戻ろうとした。


2歩歩いたところで誰かに腕を捕まれた。
否、誰かではない、切原赤也に。










「・・・・・何か用?」







とりあえず、笑顔を作って彼に問いかけた。

返って来たのは意外な言葉。



















「・・・・一昨日、失礼言ってすみませんでした。」
















切原くんは申し訳なさそうに俯いたまま言った。
言い終わった後、ちらりとあたしの目を見る。


ちょっと、切原くんの方が背が低いんだから、上目遣いになってますよ。
(ちょっと可愛いじゃねぇか、おい。)










「・・・ッ・・アハハハッッ」










その姿があまりにも可愛くって、つい笑ってしまった。








「ちょっと、人が謝ってるのに何笑ってるんですか!」








「いや、別に何でも無いよ。しょうがないな・・・」
(まぁ、もともと一昨日の事は気にしてなかったけど)




「よかった。」と胸を撫で下ろす切原くんを見ると、笑みがこぼれる。

でも、ただ許すのも面白くないよね。






「ジュース1本で手を打とうじゃないか。」




「はぁ?!」





なんて、純粋な反応なんだろう。
まだ、小学校卒業したばっかりなんだもんね。






「今度あったときに、是非ジュース奢って頂戴ね。」

「・・・・・・はい。」







渋渋と言った感じだろうか。
一寸(ちょっと)した冗談なんだけどな。
















* * *















「おはよ丸井。」

「おっす、。あっ、朝から早速ジュース買ってんのかよ。太るぞ。」

「違うよ。太るとか言うな馬鹿。これは奢ってもらったの。」

「誰に?」

「切原くん。」









「は?!」







その反応、昨日の切原くんと一緒だし。
丸井は「お前らそんな関係なの?」とか聞いてくるし。







「やっぱ、あの子おもしろいよ。」







丸井は訳が分らなさそうな顔をしていた。




理解できていない丸井のためにあたしは今朝の事を話した。







◇◇◇








毎日自転車で登校している私は毎日8時15分に学校に着く。


2年生の自転車置き場にとめて、玄関に向う。





いつものように、タカタカと歩く。
あたしの歩調は早いらしい。よくに言われる。











「あ」





「あ」











テニスバックを持った切原くんに会った。

あたしを見るなり、切原くんはポケットをガサゴソと漁りだす。



「・・・?」


ちょっとして、切原くんは茶色い財布を取り出す。
きっと入学祝に買ってもらったんだろう。けっこう良い物に見える。




「先輩、ジュース奢ります。付いて来て下さい。」












「今度あったときに、是非ジュース奢って頂戴ね。」










あぁ、あれか。昨日冗談で言った言葉。
間に受けちゃったか。純粋だな、切原くんは。







「いいよ、いいよ冗談だし。」

「いや、奢ります!では、購買行きますよ。」








半分無理矢理連れられて購買へ行った。




「先輩、どれにします?」

「本当に買ってくれるの?」

「だって、『買って』っていったのは先輩でしょ。」

「ちょっとした冗談なんだけどー。」

「まぁ、いいっスよ。100円くらい。どれにします?」

「じゃぁ、アップル!」

「了解っス。おばちゃん、アップルジュースひとつね。」

「切原くんは買わないの?」

「俺は要らないス。」






切原くんは購買のおばちゃんからジュースを貰うとあたしに渡した。

ちょっと悪いことしたかな、と思いつつもちゃっかり受け取る。
無料より安いものは無いじゃん?−なんてね。











◇◇◇









「・・・って感じ。」

「ふーん。」






あたしが例のジュースを飲みながら丸井に今朝の事を話す。

“ジュースいる?”そう目で視線を送ると“貰う。サンキュ。”という返事。
あたしは丸井にアップルジュースを渡す。







丸井はあたしのジュース(正確に言えば切原くんに買ってもらったジュース)を飲みながら言う。






「切原ー・・・赤也だっけ?そいつ、に気があるんじゃねぇの?」

「んなワケないデショ。」






そういって、丸井にデコピンをする。





「いってぇよ、馬鹿。」

丸井はデコを抑える。
まぁ、多少はオーバーアクションだろうけどね。







丸井が飲んでいたあたしのジュースを自分の手に戻す。





「んで、丸井はとはどうなの?」

「あー…、それが進展なし。ずっと見てたらやっと目が合うって感じ。」

「、今は男に興味ないしね。丸井、気長にガンバ。」

「ああ、ありがとよ。でもよ…」

「したら、あたしにこのジュース一口あげてくる。」

「、俺の恋応援する気無いだろぃ・・・。」

「いやいや、ありますとも。現に、このジュース飲んだらと丸井は間接キスする事になるよ。」

「・・・・・・さっさと行って来い(////)」




丸井は顔を赤らめながら“早くに飲ませろ”と言うように手で追い払った。
初々しいなぁ、この反応。





いつか、丸井のような気持ちがあたしにも来るのだろうか、
―― 今のあたしにはほど遠いな。

そう想いながら、丸井の顔を尻目にの元へと行く。








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当時は、赤也は1年生なので背が低い、と言う設定にしました。
主人公は160cm前後に対して、赤也は今のリョーマくらいと思って下さい。


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基本赤也夢ですがブン太もたっぷり出てくるかも。
中1の赤也は純粋だと想います。
単純で、純粋で。それが彼の魅力なんです。
(厭くまででぴよの想像です・・・笑)
[2006/10/9  piyo]