普段は見れない私服姿。黒のTシャツに細見のデニムに銀の髪。 一瞬どこかのモデルなのかとも思ったけれど、紛れもない、仁王先輩だった。 じゃあ、なぜ先輩の家の前に-----------? スキダカラ 先輩は仁王先輩の方へ小走りで向っていく。 とりあえず俺も先輩に合わせて仁王先輩の元へ。 「仁王、どうしたの?」 「ほれ、この前借りとった英語のノート。無いとおまえさん困るじゃろ?」 「あー!忘れてた。わざわざごめんね。」 先輩は仁王先輩が差し出したノートを受け取る。 そして 「ありがとう。」 と、ニカッと仁王先輩に笑いかけた。 仁王先輩も「お礼を言うのは俺の方じゃがの」と微笑む。 ・・・・・・・・・なんだかカップルみたいだ。 二人を見ていると仁王先輩は俺に気付いたらしく (というか気付くの遅すぎっス) 俺をジロッとみた。 「なんじゃ、切原とデートか?」 仁王先輩がニヤニヤと俺の方を向く。 「デ・・・デート!?ち、違うっすよ。焼肉食っただけっス!」 「ほう。ふたりで、のう。」 俺がそう言うと仁王先輩は興味アリ気にジロジロを俺を見る。 そしてパッと先輩の方に視線を反らした。 「そ。可愛い後輩に焼肉奢ってあげたのよ。」 「俺も誘ってくれたらよかったんにのう。ニオチャン淋しか。」 「阿呆。またいつかね。」 「ふたりきり希望じゃのう。」 「仁王の奢りならいいけどね。」 「・・・相変わらずガードが固い女じゃのう。」 「なんとでも言え。」 そこにはたった一年年の差があるだけなのに、俺の入れない世界があった。 二人の世界、とかそういうのじゃなくて、なんつーかこう、 俺と焼肉を食べていたときの先輩とはまた違った先輩を見ている感じ。 なんか、モヤモヤする。 「ククク、それじゃあ俺は失礼するぜよ。じゃあな、・切原。」 そういうと先輩はクルッと後を向き、歩き出した。 「バイバーイ」「あ・・・さよならッス」 先輩二人の会話をただ聞いていただけの俺。あわてて挨拶をする。 挨拶をすると、仁王先輩はこちらを見ずにただ手を上げて帰っていった。 (---------なんか、かっこいい) これは、俺の直感的感想。本当に、仁王先輩の颯爽と帰って行った姿がかっこよかった。 この人は絶対モテるんだろうな、と確信した瞬間だった。学校でもよく差し入れとか貰ってるし、 (まあ、俺も貰っているけど、仁王先輩とは比にもならない) クラスの女子も「仁王先輩かっこいいー」「彼女いるのかな?」とか言ってるし。 先輩に惚れる女は多いってことは確かだ。 先輩もその1人なのか------? (って、俺何考えてるんだか。) 頭をブンブン振る。よし、リセット完了。 「じゃあ、切原くん私家入るね。送ってくれてありがと。切原くんも気を付けて帰ってね。」 「ウィッス。さよならー。」 先輩に一礼し、自宅へと向う。 先輩は俺が角を曲がるまで、家に入らず、俺を見届けていてくれた。 学校じゃガサツだけど、けっこう女らしいところもあるんじゃん、 なんて思った事は秘密だ。 * * * 「ただいま。」 自宅のドアを開け、靴を脱ぐ。居間を覗くと家族みんな揃ってドラマを見ていた。 私が「ただいま。」というと「お帰り、早かったのね。」とお母さんが返事をした。 そのまま居間を後にし、自分の部屋へと向う。 ドアを開け、そのまま目に飛び込んできたベットにダイブする。 ボフッ 勢いの良さに少し埃が舞った。 「ふあーーー。食べた食べた。」 仰向けになり、視界に移るのは天井。 目を瞑る。 ふと、思い出すのは、彼―――――切原赤也―――――のこと。 なんでかしらないけど、思い出す。いつからだろう、この現象。 切原くんは休み時間はああやって、阿達くんら男子と話して盛り上がっているのだろうか。 もしかしたら女子も混ざっているのかもしれない。いや、それは仕方がないけど。 テニスをしているときは見せない表情だった。 私をはじめとする年上には見せない、ひとつ違った顔だった。 なんか、淋しいな。 「まあ、学年が違うんだし。仕方ないよね!うん。お風呂入ってこよっと。」 考えてもこんがらがって頭が痛くなるだけ、そう判断した私は風呂場へ向った。 ・・・私はまだ、この感情を意識していない、と思う。 BACK NEXT ========================= 理由なんてないけれど、 なぜかモヤモヤ。スッキリしない。 そんなときは寝るか風呂が一番です。笑 [2007/8/11 piyo]