「あの二人、付き合うことになったんスか?」

「そうみたい。なんか、急すぎてびっくりよね。」

「俺、丸井先輩ならもう1・2ヶ月ぐらいしないと告れないと思ってました。」



「帰り道にの家の前で言ったんだって 『好きだ。』 って。」








「へえ、丸井先輩がねえ。」そういうと、切原くんは氷の殆ど溶けたオレンジジュースを飲み乾した。



「すいません!オレンジジュースもう一つ。」










スキダカラ













「ちょっと、ジュースは飲み放題じゃないのよ?水にしてよ。」


「いいじゃないすか。ここ、プラス200円で3杯飲み放題なんスよ。

 200円くらい俺が払いますって。」







あのデートから一週間が経った。私と切原くんは今駅の近くの焼肉屋にいる。


そう、切原くんとの約束---焼肉2回おごる---の1回目を今果たしているのだ。













丸井とをくっつけよう!と思って実行した“遊園地でダブルデートしちゃおう作戦(たった今命名)”は、


まあ、なんというかあっさりと成功し、見事丸井とはカップルになった。







丸井の惚気話によると、遊園地の帰り道、を自宅まで送り、

『今日は楽しかった。また一緒に行こうね。』と言うの台詞のあと

『あのさ、今度はの彼氏として行きたいんだ。』と真顔で真剣に言い、

『え?』と、キョトンとしたにトドメの一言『好きだ。付き合って欲しい。』と。








で、『返事は今度でいいから』と颯爽と帰ったあと、家に着いたらメールが来て

見事カップル成立!という流れらしい。





(丸井はその流れを1から10まで詳しく私に説明してくれた。)(しかも2回)
 











「なんか中二にもなるとカップルとか当り前何っスね。あ、このカルビ美味い!」

切原くんはイイ感じに焼けてあったカルビを2・3枚小皿に取る。
その内の一枚を頬張った。もぐもぐと美味しそうに食べる。





「あー当り前というか、『付き合いたい』って願望が強くなるんだろうね。このタン塩私のだから食べないでね!」

私はジュウッと香ばしいタン塩を自分の方へ移動させる。





「でもまあ、丸井先輩嬉しそうでよかったスよ。俺タン塩食べたいんで頂きまーす!」

切原くんはわざわざ避けていた私のタン塩を箸で掴み素早く口に入れた。





「ちょい待てっ!じゃあそのカルビ食べてやる!部活の調子も良いみたいだしね。」

負けずに、と、私は切原くんの小皿に盛ってあったカルビを一枚口に含む。










「ああ!俺のカルビ!」








「切原くんも食べたでしょ。私のタン塩。」


「先輩のは網の上だったけど、俺のはちゃんと小皿に避けてました!」


「食べたことには変わらないじゃん。」


「凄い絶妙な感じに焼いてたのにー!」「あれ?赤也?」






切原くんと誰かの声が重なった。
私と切原くんはその声の主を見る。------知らない子だ。










「あ、阿達じゃん。何、家族で来たのか?」

「そ、俺の弟の誕生日でよ。家族で外食。」








阿達という(多分切原くんと同じクラスの男子だろう)子は切原くんに話し掛けている。

私は二人をボーっと眺めていた。話に加わる必要はないが、

話している間に1人で黙々と焼肉を食べるのも失礼だろう。すると、阿達くんと目が合った。










彼は切原くんの耳元でひそひそと話す。30秒ほどたったときだろうか、

切原くんは赤面して「違げえよ、馬鹿!」というとシッシッと阿達くんを追い払った。






阿達くんは私のほうを見るとペコッと一礼した。とりあえず私も一礼する。











「あ…ああ!先輩、これ焼け過ぎっスよ!」


切原くんは何も無かったかのように再び焼肉を食べ始めた。













* * *












「いやあ、先輩。今日はごちそーさんでした♪」


「どういたしまして。お陰でこっちの財布は空っぽよ。」


「ヘヘッ。すんません。でも、あと1回ありますからねー。」


「わかってますよーだ。」








お腹を擦りながら、いかにも満腹というように俺は言う。

先輩はやれやれ、と言ったようだけどそれほど凹んではいない。




(まあ、焼肉は美味いしな?きっと先輩も満足したんじゃないかと思う。)










「あ、先輩送りますよ。」






時計を見れば、すでに9時を過ぎている。
流石にこの時間に女子の一人歩きはやばいだろう、と判断した俺。



(俺って柳生先輩並に紳士じゃん)









「ん?ああ、平気だよ。」


「いや、そこは焼肉のお礼ってことで送るっスよ。」



そう、俺は紳士だしな?なんて。





「あはは、じゃあお言葉に甘えて。」




そういって俺と先輩は歩き出す。

















時刻は9時20分。




空は快晴なようで月も星も輝きに満ちていた。

ビュウッと風が吹けば少し鳥肌が立つであろうか。

でもさっきまで焼肉屋にいたため、体全体が熱を帯びている。

風が気持ち良いくらいだ。




















俺の脳内ではさっきの阿達との会話がよみがえっていた。





「お前の彼女?」


「ち、違げえし。俺と先輩はただのマネージャーと部員。」


「へえ、年上かよ。俺もサン…だっけ?狙おうかな〜??」


「っ・・・どうぞご自由に。」


「ククッ、拗ねんじゃねえって。やっぱ好き何じゃん。サンのこと」


「違えよ!馬鹿!」











俺が先輩を好きだと?そんなわけねえ。



はず。





確かに、今特定の好きな女はいねえけど、好みのタイプはハッキリしている。





まずは明るい子、そんでもって優しくて健気で一途な子。

料理上手で試合の日とかに差し入れ持ってきてくれるような人もいい。

俺が凹んでいる時は「大丈夫?私が力になるから」なんて言って励ましてくれるのが希望。









それに比べて、先輩はどうだろうか。









確かに明るい、昼休みに丸井先輩のところに行った時なんか大富豪でわーわー盛り上がってたし。

けど、健気で一途かどうかは不明。てゆうか、誰かと付き合ったことあるのかも謎。

マネージャーでドリンク作りは上手いし素早いけど、料理上手ではないと思う。

この間もってきたクッキーは形がちょっと、アレだった。(味はまあまあ)

スマッシュが上手く決まらなくて凹んでいた時は





「いちいち凹まない!誰にでもスランプはあるけど、どうやって乗り越えるかが大事なの!

 さあ、とっとと練習!!!」





なんて言って背中をバシンと叩かれた。超痛かったことを思い出す。












ほら、やっぱ俺の好みと全然違う。


そう、好きじゃない。俺は自分自身に言い聞かす。











「あれ、私の家の前に誰かいる。」


先輩が指を刺して言った。








「こんばんわ、じゃな。。」







そこにいたのは仁王先輩だった。










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あっさりといきました。ブン太とちゃん(笑
好みなんてあくまで理想であって、
現実は正反対だったりもするもんです。
[2007/8/7  piyo]