雨は嫌い。
大切にしていた大事な自転車も雨で濡れるし、
道路中水溜りだらけで靴も靴下もべちょべちょ。
新しく買った傘も汚れちゃうから大嫌い。
雨の日の恋人
「へえ。そんなことがあったんかい。」
昨日跡部と初めて話したこと、荷物を持たされたこと、傘を買ったこと。
日常会話の中で忍足に全部を話したら、彼は目を見開いてすこし驚いたようだった。
「どうりで跡部機嫌が良かったんやな。」
「どういうことよ。それ。」
「さあな。雨がすきなんとちゃう?」
忍足はあやふやにしたまま席を立った。
「これから昨日のミーティングの続きなんや。さいならー。」
なんていい残して教室を出て行った。
雨は今日も降っている。ザーザーと昨日より激しいようだ。
朝は昨日買った傘を差してきた。少しだけ気分は晴れていたけれど、
やっぱり雨は嫌い。髪は今日もくねくねうねる。
朝、30分も掛けてストレートにしてきたのに台無しよ。
◇
いつものように階段を下り、玄関に向う。図書局に所属する私。
部活は週に一回。金曜日のみのかなりお気楽な部活。
でも悪いものでもなく、勉強に専念できる、なんて利点もあったりする。
勿論、そんなに真面目に勉強はしないけれど。
今日こそ本屋で何か読もう!と意気揚々と靴を履き、傘を持って外に出る。
新品の傘。ちょっとだけうきうき。
そんな気分に水を差すように、そこに人物がまた一人。
昨日と同じ人。同じポーズをして、今度は私が横を過ぎる前に来るりと後を向き
声を掛けられた。フェロモン丸出しの、無駄にいい声。
「オイ、。傘貸せ。」
「なんで今日もそこに居るのよ。」
「傘貸せ。」
「待ち伏せでもしてたの?私に惚れた?」
「あーん?違えよ。」
「私本屋行かなきゃいけないから。」
「そんなのいつでも行けるだろ。」
そういうなり、跡部はまた私の傘を奪って歩いていく。
仕方ない、今日は玄関で跡部が戻ってくるのを待つか、
なんて思ってたら、跡部が手招きをして叫んでいる。
「オイ、早く来い。」
なんだ。私は傘の付属品?わけわかんない。
追いかけるように跡部の隣に並ぶ。
きっと今日も荷物持ちだろうから、自分の鞄は玄関に置いた。
ガチャッと部室の鍵を開け、跡部はさっさと奥に入っていった。
なんて豪華な部室だろう。跡部の後について部室に入ったが、
ロッカーは勿論、パソコンやらトレーニング室やら色んな施設がおいてある。
全身鏡には流石に驚いた。
「何この部屋。」
「あーん?部室だ。」
「ありえない。ありえない。」
「現にありえてるだろ。」
奥から昨日より一回り小さい段ボールを持ってくると跡部は私に渡した。
結局パシリなのね。なんて呟いても奴は聞く様子もなく、
「早く行くぞ。」
と部室から出て行ってしまった。
昨日と同じように、玄関に段ボールを降ろすと自分の荷物を持ち上げ
跡部から傘を受け取る。
「じゃあね。」
そっけなく手を振ってみると跡部は少し目を見開いて、またすぐフッと笑った。
一体何の笑いなんだか。単なる癖なのか。そして彼は言った。
「傘、いいんじゃねえの。」
なによ、私の返事になっていないじゃない。
そう思いつつも悪い気はしなくて私は雨の中を掛けていった。
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偶然なのか故意なのか。
髪を思いっきり切ったときの様に
意味もなくドキドキしたりする。
[2007/10/21 piyo]