瞳がそういうから 付き合って5ヶ月になる私と若は、「本当に付き合ってるの?」 なんて聞かれるほど、学校で会話することがない。 もちろん二人でいる時は別だけど。 彼は普段、女子と喋らないし、付き合う前から話をする事はあまりなかったから 違和感は無かったけれど、他の人からすれば私たちは可笑しいらしい。 それなのになぜ続いてるのか、そもそもなんで付き合っているのか。 なんて聞かれても、正直困る。私だってわからない。 何故か若に惹かれて、両思いになって、付き合うことになったのだから。 それでも、若とのデートを重ねるうちに、彼の魅力をどんどん発見するし、 知らないことを知っていくようでとても楽しい。 それが続く秘訣かな、とに言ったら彼女は首をひねらせた。 私に問う。 「よくわかんない。魅力が見つからなくなったらオワリってこと?」 「さあ、それはないと思うけど。」 私も困ったように首をひねると、はふふっと笑う。 「でもま、なんだかんだ続いてるね。」 「そうだね、自分でも不思議。」 「気付いてる?日吉の話をしてるときの顔ニヤけてるよ。」 「そ、そうなの?気付かなかった。………あ。」 教室の向こうの廊下に若を見つけた。 思わず声が漏れる。も私の声に反応し、廊下を見る。 若は教室前方のドアで立ち止まると私のほうを見た。 私も若のほうを見る。互いに無言。 (……) 彼は私と目が会うとすぐにどこかへ行ってしまった。 「なんだったの?日吉。」 「・・・さあ。」 は理解不能、といったように眉間にしわを寄せた。 でも、私はわかる。彼は今、私に目で話し掛けた。 別に私がエスパーなわけでも、若の心を読めるわけでもない。 だけど、なんとなく、無口な若の言いたいことがわかった気がした。 あくまで感だけど。 ◇ 「よくわかったな。」 若ドアを開け、私のほうに歩み寄る。 フッと笑いながら私に話し掛けた。 「すごいでしょ?」 彼に自慢するように私も笑う。 自分の部活が終わったのが午後6時半。 いつもなら直ぐに学校を出て家に帰るけれど、今日は違う。 若に言われたような気がしたんだ、“一緒に帰ろう”と。 あの時の無言の見詰め合いは、そういう意味だったと思う。 だからテニス部が終わるのを教室で待っていたら、案の定、若が現れたのだ。 私は言葉を続けた。 「でも“一緒に帰ろう”ぐらいちゃんと言葉で言ってくれても良いんじゃない?」 「心の中で言ったぜ?」 「馬鹿。ダイタイ、若は学校で無口すぎるのよ。」 「じゃあは多弁な俺を見たいのか?」 「…それはちょっと。」 「じゃあ今のままで良いだろ。」 若はフッと勝ち誇ったように笑った。 ああ駄目だ。私はこの笑い方に弱い。 「ねえ、もし私が残ってなかったらどうするつもりだった?」 「どうもこうも、普通に一人で帰っていたさ。まあなら残ると思ったけどな。」 「私エスパーじゃないんだから若の心なんて読めないよ。」 「でも読んだだろ?今日。」 「偶然ですー。」 少し反抗的に若に言いながら彼の顔を見る。 若も私を見る。刹那、彼は私の手を握った。 彼の手と私の手は繋がっている。 ああ駄目だ。恥ずかしい。 若と手を繋ぐことなど何度もしているのに未だになれない。 そもそも若はいつも急すぎるのがいけない。 火照る頬や微妙な緊張を紛らわすべく、私は若に話し掛ける。 「ね、ねえ!若お腹空かない?」 「腹か・・・・多少空いたな。」 「じゃあマックでも行って軽く食べよ?勿論若の奢りで。」 「なんで俺が。」 「彼氏だから。」 ヘヘヘッと笑うと若は「はあ」っと一つ溜息を吐く。 すると何かを閃いたようで、私に提案をした。 「じゃあ、俺の考えてることが解かったら奢ってあげてもいいぜ?」 「なにそれ。無理だし。」 「ならできる。俺の目を見ればわかるさ。」 若はニヒルに微笑むと私に考えるように促した。 「うーん…………『テニスしたい!』、とか?」 「違うな。」 「じゃあ…、『宿題メンドくせー』とか?」 「残念。」 「わかんないよ。もう。」 「じゃあ奢りは無しな。」 「正解は?」 若の目を見る。瞳が何かを語った。 (……なんとなくわかった気がする) 私は彼の手を少し強めに握った。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::: 日吉のツンデレ具合が 大好きで只今フィーバーしています。 [08/12/30 piyo]