矛盾 目の前にあるさらさらの髪を見ると、つい笑みがこぼれる。 入学した時と同じ君。 ぶっきらぼうで、何に対しても無頓着、無関心。 でも、テニスには熱心な君---日吉若。 日吉を見るほうが、黒板に書いてある数式を見るよりも、 ずっと面白い。ずっと楽しい。 パチ ―――― 目があった。 「何ジロジロ見てるんだ。」 「へっ?ああ、ゴメン。視線感じた?ひょっとしてドキドキした?」 「ほざけ…プリントだ。」 「ありがとー。」 どうも駄目だ。日吉と喋ると素直になれない。 もっと女の子らしい態度を取りたいのに。 日吉から回って来たプリントを一枚手にとり、残りを後に回す。 なになに?<数学の小テストのお知らせ>…テストなんて冗談じゃない。 「ついでにこれも。」 四つ折にされたノートの切れ端。 鉛筆で私の名前が書かれている---日吉の字だ! 先生がプリントの(つまり小テストの)説明をしている間にこっそりと手紙を開く。 否、これが手紙と呼べるかどうかは別として。 ‐−−−‐−−−‐−−− 俺の髪を見ても面白い物はないぞ 視線が痛いからヤメロ。 ‐−−−‐−−−‐−−− なんだそれ。ビリッと数学のノートを一枚千切り、返事を書く。 ‐−−−‐−−−‐−−− 日吉の髪じゃなくて、日吉自体が面白い。 そのうち視線だけでドキドキさせるから待ってろ。 ‐−−−‐−−−‐−−− 肩をトントンと叩き日吉に手紙を渡す。 どんな反応をするのだろうか、ワクワクしながら日吉を見ると あの細い目をこれでもかと見開いて、私を見た。頬は少し赤い。 そして机にまた手紙が来る。開ける。 ‐−−−‐−−−‐−−− 既にドキドキしてるから安心しろ。 視線は痛いが止めなくてもいい。 ‐−−−‐−−−‐−−− 今度は私の頬が熱い。 日吉は振り返り、ニヤッと笑って視線を黒板に移した。 ヤメロって言ったり止めるなって言ったり、矛盾だらけだよ。 じゃあ、遠慮なく視線を送ります---ダイスキ。 (矛盾:辻褄が合わない事) ================ ◆拍手お礼夢[3/6〜5/20] 名前変換なくてゴメンなさい。