※高校生設定











「好い加減泣き止めよ。」

「ヒック……無理…っ。」



隣に居る泣きじゃくる女は。


俺らは今、ボーっとステージ上を眺めている。

壇上には校長が居て、生徒がいて、生徒は涙を浮かべていて、

証書を受け取っていて。つまりは卒業式だ。


堂々と胸を張り、証書を受け取る卒業生。

生徒を呼ぶ教師の声も僅かながらに震えている。


沢山の思い出が詰まったこの学校を離れるのは辛いのであろう。

証書を受け取った生徒の溜まっていた涙は一気に零(こぼ)れる。




「ヒック…し…跡部先輩…が…卒業しちゃう…。」




あくまで卒業生の話だが。




「泣いても笑っても跡部さんの卒業に変わりは無いぞ。」

「・・・っ・・・知ってるし…。」

「じゃあ泣き止め。」

「だって、…っ…もう会えなくなっちゃう。」

「じゃあ告白でもしたらどうだ。」

「…無理だよ。先輩彼女いる…もん。」




うえーん、と再び泣き出す。

周りの女子生徒も(勿論卒業生も)泣いているから、

が泣いていてもなんも支障はない。

ただ、俺は嫌だ。




確かにこいつは、入学した頃から跡部さんに恋をしていて、

「確実に射止めるまでアタックし続けるのv」

なんてほざいていたにも拘らず、メールをしていただけで終ってしまい、

今日告白しようと決意したにも拘らず、朝から跡部さんと彼女さんの

ラブラブな登校姿を見ると告白する気も失せてしまって、

の恋の相談を受けていた俺のところに、

それはもう女とは思えない泣き顔で飛んで来た。




「ヒック…ヒック…もう、会わないな…ら…っ…告白…すればよかった。」

「だから言っただろ。」

「でも、彼女さん…っ…に敵う分け…ない。」

「当り前だ------だが」




確かに、跡部さんの彼女はすごく良い人だ。いい女だと言う事は誰もが認める。

顔もそうだが、性格が綺麗だ。族に言う、美男美女。

よくあんなにも素敵な人が跡部さんのナルシストぶりに付いて行けるな、とも思う。

(跡部さんには失礼な話だが)

が告白した所でコロリと

「お前が気に入った。俺と付き合え」

なんて言う可能性は微塵も無い。皆無だ。

ただの、女子生徒としてしか見られてないのだから。




だけど、は、跡部さんにとってはただの女子生徒だが




俺にとっては----









「…っ…『だが』……?」








俺にとっては------一番大切なヒトだ










「(言える訳ないだろ、そんな事) いや、何でも無い。」

「っ…変な日吉…。」



は目を充血させ、垂れてくる鼻水と吸いながら

跡部さんの姿を目に焼き付けようとしている。




正直言えば、跡部さんばかりを見るに少しの怒りを感じ、

に惚れられている跡部さんに少しの嫉妬を感じているが、



今はの気持ちを優先したい。



不幸の後に待つのは、幸せのみだ。



俺はの頭をポンポンと軽く叩いた。

恐らく、は頭にハテナマークを浮かべているだろう。








俺が思うのは唯一つ。

















幸福論
(お前の幸せは、俺が作る。)
































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日吉くんです。卒業シーズンですね。
別れは出逢いを運ぶものだと思います。
お前の幸せは俺の幸せ、これが日吉の幸福論。
(勝手に想像…笑)
[07/03/22 piyo]
[08/12/30 修正]