「あ」
「…あ」
珍しく部活が無い日曜日。俺は大型ショッピングモールに買い物にきた。
いや、その中のスポーツショップに用があったから、ショッピングモール全体には用は無い。
いつもは五月蝿い先輩方が居なく、伸び伸びと買い物できると思っていたのに、
マネージャーである先輩に会った。
最悪だ。
先輩は連れが居る様子も無く、一人で紙袋を2つも抱えている。
一体何を買ったんだか・・・・
俺の本能が危険信号を出している。
――このままだと、買い物に付き合わせられるぞ・・・と。
「どうも」、と、軽く会釈をして俺は先輩の横を通り過ぎた。
否、止められた。
「日吉じゃぁぁん!何してるの?買い物?一人?」
五月蝿い人だ。俺は本能の言うと通りにする。
幾ら先輩と言えど、面倒事は御免だ。
「そうです。それでは。」
スタスタと先輩の横を抜けていく。後ろは見ずに前だけを見て、
スタスタスタスタ
スタスタスタスタ
ピタッ
ピタッ
タッタッタッタッタッ
タッタッタッタッタッ
俺の後ろに感じる気配は、どうか気のせいであって欲しい。
きっと、俺は夢を見ている、そう後ろに人なんか居ないはず。
俺は自分に言い聞かせて振り返った。
気の所為でも、夢でもなかった。
憎たらしいくらい、笑顔の先輩が其処に立っていた。
「先輩、なんで付いて来てるんですか。ストーカーですか?」
「いや、日吉をストーカーするほど男には飢えてないよ」
「・・・・じゃぁ、何なんですか。」
俺の本能、レッドカードを出した。
聞いてはいけない質問だった。
あれほど、危険だと悟ったのに。
「買い物手伝ってくれない?この荷物重くってさぁ!」
*
俺はスポーツショップに買い物にきた。
では今どこにいる?
先輩の隣で呑気にアイスを食べている。
まぁ、先輩の奢りだか。
あの後、強制的に(というより、脅されて)先輩の買い物に付き合わされた。
アクセサリーショップやファッションショップ、雑貨屋など本当に連れまわされた。
「どっちがいいと思う?」 という質問も5回くらいされた。
その度に俺は
「どっちでも良いんじゃないですか。」 と応えたが。
俺がアイスの部分の半分位を食べ終わった頃、
先輩は唐突に聞いてきた。
「日吉、彼女いる?」
「・・・・・なんですか、行き成り。」
「だから、彼女いる?」
「居ませんけど。何か?」
先輩は前を向いた。
「じゃぁ、質問かえるね。好きな子いる?」
「だから、なんなんですか?」
「だーかーら、いる?」
「いませんよ。」
気に障ったのか、ツマラナイ回答だからか、先輩は黙り込んだ。
と、思ったら突然言い出した。
「ね、日吉。アイス交換しよ!あたしそっちのアイスも食べてみたい!」
何を言い出すんだ、この人は。
「俺は別に先輩のアイス食べたくないですけど」
「奢ってあげたのはあたしだよー!先輩はあたしだよー!」
「わけわかりません。」
まぁ、いいじゃん!、そういって
先輩は俺のアイスと自分のアイスを取り替えた。
「やっぱ、チョコミントはおいしいねぇ」
「なら、苺じゃなくて、チョコミントにすれば良かったじゃないですか」
「その時は、苺の気分だったの」
アイスを俺よりも早く食べ終わった先輩は、俺が食べ終わるのを今か今かと待っている。
「先輩、食べるの早いですね。」
「だって、溶けちゃうじゃん」
先輩より遅れて5分で食べ終わった俺に向って、先輩は言った。
「じゃぁ、スポーツショップ行こうか!」
・・・・は?この人は知っていたのか?
「知ってたんですか?俺の用事」
「うん、日吉がココに来るのはテニス関係の時だけでしょ?」
「…まぁ、そうですが」
「へへっ、やった。当たったぁ」
「なんで知ってるんですか?」
俺が最も聞きたいことはコレ。
先輩はこれでもかって位俺のことを知っている。
「あたしは日吉の事なら何でも調査済みだからっ」
「・・・・どういうことですか?」
「もぉ〜、鈍ちんだなぁ。日吉は。さっ、行こう!」
鈍ちんなのはどっちですか。
俺がアイスをどんな女とも交換する訳が無いでしょう。
先輩が特別だからに決まってますでしょう。
俺の前を歩く先輩に、そういおうと思ったけれど、やっぱり止めた。
先輩の隣に並んで、何も言わず、先輩の荷物を持ってあげた。
先輩は一瞬びっくりしたようだが、「サンキュ」といって笑うと
楽しげに俺の一歩手前を歩き出した。
俺はもうすこしこの状況を楽しむとしようか。
チョコミントと苺
(好きですよ、貴女が。ただ、顔に出さないだけです。)
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日吉はもともとちゃんが好きなんです。
今日はたまたま一人でいたい気分だった、みたいな。
まぁ、結局はラブラブになりそうだけどね。
それよりも・・・日吉の性格悪いなぁ。
ごめんね、日吉ファン;;(含自分
[06/10/02 piyo]
[08/12/30 修正]