幸福シンフォニー
日曜日、郊外にある大きなショッピングモールにひとりで来た私。
今朝の新聞に挟まっていた広告で見た『SUMMER SALE』という大きな文字。
所謂、バーゲンというもの。
その大きな赤文字に惹かれ、自転車をこぐこと30分。
止まった途端に湧き出る汗を拭いつつ、入店。
クーラーが効いていて、涼しい。汗がスッと引けていくが、風邪を引きそうだ。
30分程、1階にある専門店をうろうろしていた私。
なれないサンダルを履いていた所為で、踵(かかと)の辺りが痛い。
「ちょっと休憩」と思い、ベンチに座って携帯を開く。
この行為に何の意味も無く、単に手元が淋しいだけ。
隣に誰かが座った--気配がする。
しかも目線が当たる。すごく見られている気がする。
ちらりと横を見れば、ニコニコ笑う---幸村精市。
「なんで幸村ここにいるのさ。」
「やだなあ、買物に決まってるだろ。」
「じゃあ自分の買物しなさいよ。」
私と幸村は今店の通路を歩いている。
行き成り現れた彼に多少吃驚(びっくり)しつつも、
まあ、誰かに会うだろうとは思っていた、と、勝手に納得。
休日だし、セール中だし。
なのに、何故か隣に並んで、あたかも一緒に来ました、は俺の彼女です、
と言うかのように私の買物に付いて来る。
別に邪魔では無いのだけれど。
「まあ、邪魔はしてないだろ?」
「まあ、そうですけど。」
「こうしてるとさ、俺達カップルみたいじゃない?」
「まあ、傍(はた)から見ればね。」
「は何買いに来たの?」
「サンダルとスカート。今度の花火大会に着ようと思って。」
「ふうん。」
そんな会話をしながら入ったお気に入りの店。
リーズナブルでデザインも可愛いのが特徴。
セール中なだけあって、とても安い。学生さんには嬉しい限り。
「あ、これかわいー。」
『30%OFF』とかかれた札の下にあった黒いプリーツスカート。
値段もなかなかグッド。サイズもピッタリ。あとは似合うかどうか。
鏡の前で当ててみる。少し丈が長いみたいだけど、いいかな?なんて思ってた。
そこで幸村がピシャリと言い切る。
「には黒より白いスカートの方が似合うな。」
『ああそうですか、でも私はこれを買います』
なんてことも言えたかもしれない。普段の私なら絶対言える。
頑固を突き通して自分の気に入った物を買う。
なのに、なぜか、どういうわけか、
そのスカートを元の位置に戻してしまった。
「あれ?やめるの?」と、幸村。おいおい、自分で似合わないと言ったくせに。
「うーん…うん。似合うもの着たいし。」
「あ、俺の意見邪魔だったかな。ゴメン。」
「ううん、そんなこと無いから。」
軽く店内を見るが他に目ぼしい物は見当たらない。
次の店に行こう、と思って外に出たら、幸村が突然言った。
「ねえ、あの店入ってみない?」
幸村が指したのは今入った店の斜め向いにある店。
「いいよ、行こ。」
店に着くやいなや、幸村は店頭に置いてあったスカートを物色し始める。
…女装趣味?それとも私のため?前者かな。いや、まさかね。
ひとつひとつ手に取ると、私の方を向いて頭からつま先までサッと見る。
なんなんでしょう。私は動くこともせず、ただ幸村を見ている。
「のウエストっていくつ?」
「は?女にそう言うこと聞く?!」
「うーん86くらい?」
「ちっ、違うし!標準位です!」
「冗談だよ。うん。これがいい。」
納得したように頷き、ちょっと待ってて、と言うと
幸村は店の奥へと向っていった。やっぱり私は呆然としたまま。
ショップ袋を抱えて出てきた幸村。そして私に「はい」と差し出す。
当然、私の頭上には?(クエスチョンマーク)が浮かんでいる。
「これ、俺が抜粋した今のに一番似合うスカート。」
「へっ?!そ、そんなの受け取れないって!」
「いいから、俺からへのプレゼントと思ってさ。開けてみてよ。」
ショップ袋を開け、中のスカートを取り出し、広げる。
「……かわいい。」
無意識に出た言葉。
「だろ?今度の花火大会これ着て来てね。」
「えっ!?いや、その…花火大会はもうと約束しちゃったから。」
「あれ、ちゃんから聞いてなかった?
俺と丸井も一緒に行くんだよ。」
「…え?幸村と丸井も?!聞いてないし。」
「うん、だって言ってないからね。」
「・・・・・・・・・・。」
ちょっと待て。唐突過ぎて私の思考が追いつかない。
「さ。次はサンダルを探しに行こうか。」
グイッと私の手を引っ張る幸村。
花火大会になにがあったかは、また、後日。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::
ジャ○コを思い浮かべていただくと嬉しいです(笑
シンフォニー=交響曲
交響曲=オーケストラによる多楽章の器楽曲。
こんな男性居たら、
是非会いたいものですわ(笑)
[07/07/15 piyo]
[08/12/21 修正]