見上げた瞳に映るもの U
それから、瞬く間に時は過ぎていった。
最初の実行委員会議から既に3週間。学校中は準備で大忙しだった。
学校中をプリントや木材、ペンキ等を抱えた生徒が駆け回る。
廊下も教室も中庭も生徒で溢れ、少し早いがお祭りムードといった感じだ。
勿論、も蓮二も忙しかった。帰宅時間は8時を越え、時には9時にもなった。
毎日毎日、準備や会議。うんざりする程のプリントの山。
1階から4階を駆け回り、たくさんの生徒に注意をし、そして責められ。
楽しくない、止めたい、何度も思った。
しかし、唯一の救いがあった。---柳との会話だ。
会議が終わった後に蓮二と話すのがの楽しみだった。
会議の事から、勉強のこと、芸能人のこと、テニス部のこと。
蓮二は意外にも、芸能界に詳しかった。
データマンなのだから、当然といえばそうかもしれない。
芸能人の話から好きなタイプ、恋の話へも発展した。
「はどんなタイプが好みなんだ?」
「えっ?うーん、優しくて…落ち着いてる人かな。」
「柳って、彼女とかいるの?」
「忙しくてそれどころではない。そういうはどうなんだ?」
「あー、私は彼氏はいないよ。」
今、は生徒玄関前にいる。玄関の段差に座りボーっとしていた。
グラウンドではまもなく後夜祭のメインイベント、打上げ花火がある。
立海には、“ハート型花火を一緒に見ると永遠の恋人になる”というジンクスがあり、
多くの生徒が好きな人を誘い、永遠の恋人を目指しているのだ。
「すまない、待ったか?」
「あー、うん。全然!」
ならよかった、と、少し息を切らした蓮二はの隣りに座った。
蓮二を見るとも嬉しくなる、にこっと微笑んだ。
蓮二も微笑んだ。ドキッと、胸が高鳴る。
夜空を見ながら、蓮二は喋りだした。
「もう、学祭も終わりだな。」
「そうだね、長かった〜。やっと終るって感じ!」
「そうだな。だが---少し淋しいな。」
「…うん。毎日にすっぽりと穴が空きそう。」
胸がズキズキと痛んだ。(もう、柳の横顔を間近で見る事はないのかな)
ジワッと涙があふれる。ここで泣いてはいけないと、は涙を拭った。
「……もう、と…こう話すこともなくなると思うか?」
「…わからない。でも、クラス一緒だし、話そうと思えば---。」
「---俺が、どうしてを推薦したか覚えてるか?」
「責任感があるから…だっけ?」
急に左手が温かくなった。
の手の上に蓮二の手が重なっている。
頬が急に火照り始めた。
「お前が、お前のことが---好きだからだ。
俺と、ずっと一緒にいて欲しい。」
パーン パパーン パーン
「あっ!は、花火始まったみたいだよ。み、見よ!?」
突然の出来事に動揺を隠せない。
スクっと立ち上がったを蓮二は抱きしめた。
耳にはパーンという花火の音が鳴り響き、
の脈はドクドクと花火に負けずに五月蝿く鳴り響く。
「返事を---聞きたい。駄目か?」
「…それは----」
抱きしめられたまま蓮二の顔を見上げる。
落ち着いた、優しい瞳がそこにあった。
「------もちろんです。」
見上げたに映ったものは、照れる私でも、花火でもなく、
――――幸せな、私たちの未来。
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長かった…。蓮二に熱中(笑)
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
ひょんなことから出会いはあると思います。
その出会いを大切にして欲しいです。
[07/03/14 piyo]
[08/12/29 修正]