永遠の愛なんてありえない。
所詮大人の真似事だったんだ。
でも、忘れられない。
忘れたくない。
「もうすぐで1年か。」
机の上に広げられる宿題の山。好い加減見飽きて窓に目を向けた。
珍しい、雪が降っている。今年はホワイトクリスマスだろうか。
『クリスマス』と聞いての頭の中に一人の人物が浮かんだ。
柳 蓮二
大好きだった。
愛していた。
机の上のカレンダーを見る。1年前は25日に“デート”だなんて書いていたっけ。
そんな様子も見られない真っ白なカレンダーを手にとり、
は涙を一つながした。
「会いたい・・・よ。・・・蓮二・・・」
2年前は私も蓮二も中学2年生だったね。
クリスマス、貴方が私を公園に呼び出して、私はドキドキしながら向ったっけ。
空気の冷たさと恥ずかしさに貴方も私も顔が真っ赤だったよね。
「が好きだ。」
「・・・私も蓮二が好きです。」
真っ赤な顔をして堂堂と告白する貴方はなんだか可愛くて、でも、かっこよかった。
あー、この人が今から私の恋人なのか、って思ってた。
そう思うと胸が高鳴って、ドキドキして、心が弾んだの。
「なんだ。俺の顔に何かついてるか。」
「んーん。蓮二の隣に居れて嬉しいだけ。」
「・・・そうか。俺もだ。」
信じられなかった、まさか両思いだなんて。
蓮二と帰る道は時間が止まっていた。光に満ちていた。
この世で一番好きな時間だったかも知れない。
永遠を信じていた。
*
「もう1年になるのか。」
蓮二はスポーツドリンクを一気に飲むと呟いた。
室内コートではまだ真田と丸井が打ち合いをしている。
もう部活の時間も終わったのに元気な奴等だ。
軽くデータでも取って置こうか。
蓮二は鞄から手帳を取り出した。おもむろに12月のページを開く。
真っ黒くなるほどに『練習』の文字が並んでいる。
自分はテニス人間だ、改めて実感してしまう。
1年前は真っ黒の中に“観覧車”と赤い文字があった。
蓮二は深い溜息をついた。
「・・・元気か。・・・・・・」
1年前のクリスマス、俺とは観覧車に乗っていた。
「クリスマス、一緒に遊べる?」
誘ってきたのは部活の帰り道、の方からだった。
は決して『デートしよう』とは言わない。
きっと恥ずかしかったのだと思う。そこがまたらしくて可愛いかった。
「あのね、私観覧車に乗りたいんだ!・・・だから一緒に遊ばない?」
「もちろんだ。でもなぜ観覧車なんだ?」
「えっとー・・・なんとなく!」
知っていた。何故行き成り観覧車なんて言い出すのかなんて。
『観覧車の上でキスをすれば永遠の恋人になる』
良くあるジンクスだ。俺は信じていなかったがは信じていた。
でも、悪いジンクスじゃない。
クリスマスにと観覧車でキス、ロマンチックじゃないか。
俺はクリスマスを心待ちにしていた。
「見てみて、蓮二。高ーい!」
「、あまりはしゃぐとゴンドラが揺れる。」
「でも、高いとテンション上がっちゃうよ。」
は窓にへばり付いて景色を眺めていた。
外から見れば異様な光景だったかも知れない。
でも、俺はと同じ空間にいられる事に幸福を感じていた。
「。」
「ん?何。」
好きだ。大好きだ。愛している。
全部含めての唇に軽くキスをした。
見つめ合う俺たちの時間は止まっていた。来年も一緒に行こう、心に決めた。
別れは卒業と共にやってきた。
中等部を卒業すれば俺もも高等部に上がる。
ずっと一緒に居る、そう思っていた。
4月1日3時間前、中学生もあと3時間で終わる時、
俺はメールが一件来ているのに気が付いた。
からだった。
見た瞬間、体中に衝撃が走った。
自分の目を疑った。俺の心でガラスが割れる音がした。
『別れよう。』
急いでに電話をした。4コール目でが出た。
「、あのメールはどういうことだ。」
『どうもこうも、・・・そのまんまの意味。』
「正気か?」
『・・・うん。・・・あたし、もう蓮二の事好きじゃないから。』
「・・・・・・・・。」
『楽しい思い出をありがとう。・・・さよなら。』
私は電源を切った。
これでいいんだ。これが蓮二の為になる。私の為になる。
大粒の涙が零れた。壊れたダムのように止まることなくドッと流れた。
私は布団にもぐりこんだ。
親から転校を聞かされたのは卒業式の次の日だった。行き先は北海道。
ここに残る、何度も言い張った。でも、許してはくれなかった。
蓮二に会えなくなる。すごく悲しかった。辛かった。苦しかった。
もし、蓮二も辛い思いをしたら? 蓮二を悲しませる事はしたくない。
それなら、私と別れて他の女の子と付き合ったほうが良い。
私も蓮二を忘れて他の男の子と付き合えば良い。
これが、私の下した決断だった。
*
が転校したというのは入学式の日、幸村から聞いた。
本当に、さよならになってしまった。
電話をしても、出てはくれなかった。メールをしても、返事はこなかった。
俺は、本当に嫌われたんだ。
あれからもう半年以上経つ。なのに俺はまだが好きだ。
他の女にも目を向けてみた。付き合ったこともある。
けれど、以上惹かれる女は居なかった。
いつも片隅にが居た。俺にはしかいない。
はもう他の男の手の中だろうか。
他の男の隣で可愛く微笑んでいるのだろうか。
それでも、やっぱりが好きだ。会いたくて会いたくて仕方が無い。
自分から振って置いて馬鹿みたい。
新しい土地に行けば自分も新しくなって、新しい恋も見つかる、と思ってた。
でも、蓮二を思い出すと他の男の子に興味がもてなくて、目を向けても蓮二と比べてしまって。
告白されて、付き合ってもやっぱり何かが違う気がして別れる。
君が忘れられない。
「蓮二…」
「…」
やっぱり君が好きなんだ。
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愛し合う二人、すれ違う二人。
相手のために別れる、彼女。
受け入れる彼。
でも、相手を忘れられない両者。
大丈夫、きっと君等は赤い糸で結ばれてるから。
[06/12/12 piyo]
[08/12/29 修正]