ありったけの愛を








「じーろーおー」

「…zzz」

「ジロー。」

「…zzz」

「起きてるでしょ。」

「……なんだ、ばれてたの?」


何故か知らないけど、には俺のタヌキ寝入りが通じない。

初めて会ったときからそうだった。



高等部と中等部の間、園芸部の花壇の横にある青い芝生。

太い幹の大きな広葉樹の下の日陰。ここは俺の特等席。







◆







確か、去年の4月くらいだっと思う。俺がをはじめて見たのは。

部活も無くて、家に帰っても店番させられるだけで、退屈で退屈で仕方なくて、

花壇横の、大きな広葉樹の下の芝生の上に転がっていた時だった。



時々、風に乗ってチューリップやラベンダーの花の香りがしていた。

まあ、俺もそこまで鼻がいいわけじゃないから、気のせい、かもしれないけど。



青い空をボーっと眺めて、唯流れている真っ白い雲をジーッと見て、

ウトウト、とし始めた----ら。



「さん、一年の頃から好きです!

 俺と、付き合って下さい。」



まあ、なんてゆうか、告白現場に遭遇してしまったり。

相手から俺の姿も見えないし、俺も相手の姿がわからない。

だけど、やっぱ気になるでしょ?お年頃な俺も同じ。



「大塚君…。」



女の子の方は意味ありげに相手の名前を呟いていた。

声からは表情は読み取れなかったけど。

これはOKって事?新しいカップルの誕生?---なんて思ってたら、



「ゴメンなさい。あなたとは付き合えません。」



ビューっと一瞬、強い風が吹いた。

芝がサーっと、木木の葉もガサガサと揺れた。


(あー、大塚ってやつ振られたんだ。かわいそー)


そっと顔だけ動かして、その振られた大塚って人の顔を見る。

…あ、同じクラスの奴じゃん。しかも俺の隣だったっけ。



---パチ

(やば、女の子の方と目合っちゃった!)




すぐに逸らし、何事も無かったかのように何も見ていない、というように

自然に、眠りに着く(振りをする)。

テニス部のレギュラーにも平部員にも、榊監督にも通じる俺のタヌキ寝入り。

俺の自慢、いや、特技だと思う。



なんて、考えてたら行き成り声を掛けられた。



「覗き見なんて、悪趣味だね。芥川。」

「…zzz」

「起きてるでしょ。芥川慈郎。」

「…なんで俺の名前知ってるの〜?君誰?」

「。

 1年のときあなたと同じクラスだったはずだけど?」







◆







俺は上半身を起こし、太い木の幹に身体を預ける。

は俺の隣に座ると空を見上げた。



「ジロー見て。空、青いね。雲も真っ白。」

「うん。」

「あたしとジローが会った日もこんな天気だったよね。」

「そうだっけ?」

「しらけても無駄よ。」

「怖いC〜。

 …覚えてるよ。が告られた日でしょ?」

「まあ正確には中一の時だけどね。でも、ジローの言った日の方が合ってるかも。」




はニコッと笑った。

この笑いに弱いんだ、俺。いや、自身に弱いかもしれないけど。



あ!と言って、は突然立ち上がった。

そして俺の前まで来て、しゃがみ込む。



「ねえジロー。誕生日何欲しい?何でも買ってあげる!」



ニコニコさせて、本当楽しそう。

人にプレゼントを買うってそんなに楽しいこと?俺にとっては憂鬱なだけ。

まあ、への贈るプレゼントは特別だけど。



「じゃあ、プレステとパソコンと新しいテニスシューズと…。」

「ストップストップ!一つだけ。」



慌てるも可愛いな、なんて。俺本当にベタ惚れ。

中二の頃はのことなんか知らなかったのに。


出会いって、面白いね。


今では俺の隣で、他人でも知り合いでも友達でも無く、

彼女として、俺のそばにいる。

なんか、嬉しくなってきちゃった。




---チュッ




俺は目の前にいるの頬に軽くキスをした。



「じゃあ、のありったけの愛をチョーダイ?」



照れながらも俺にキスを返してくれたは、

本当に、とても可愛い可愛い、俺の彼女。










































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遅れました。ジロー誕生夢。
本当、遅れました;;すんまそん。
でも、ジローは大好きデス!笑

HAPPY BIRTHDAY JIRO

[07/05/14 piyo]
[09/01/01 修正]