「、ちょっとこっちむいて。」
「いやだ。今手が離せない。」
「あっ、UFOだ!」
「その手に乗ってたまるか!」
萩乃介の声はとても魅力的だと思う。
男性特有の低い声、というわけでもないが女性のように高いわけでもない。
ユニセックス、というのだろうか。どこか中性的なのだ。
彼の声は、中性的な見た目とマッチして、神秘的オーラをかもしだしている。
と、は言っていた。
ただ、あくまでそれは第三者から見た感想であり、
15年間ずっと一緒に過ごしてきた私にとって、そうは感じない。
幼なじみとは怖いものだ。
クラスの、学校中の女子がテニス部レギュラーに熱中している。
確かに、跡部君や忍足君はかっこいいオーラがある。女子が騒ぐ理由もわかるけど。
萩乃介はそんなにイイ男じゃないよ?
身長だってそんなに高くないし(私よりは高いけど)
みんなの前では「おトイレ」って言うくせに私の前では「便所」って言うし、
クラスの女子から貰った(正直美味しくない)クッキーを無理矢理私に食べさせるし、
私が冬場にこけても「クスッ、面白いこけ方。」って言うだけで手も差し伸べてくれないし。
「王子様みたいだよね〜」なんて言っていたが信じられない。
「、全く進んでないよ。」
「あっ。」
そうだった、今は勉強中。目の前のテーブルに広がる問題集の数々。
教科書には謎の数式が多々。・・・駄目だ、さっぱりだ。
でも、こういう困った時二人で勉強してると便利。だって、すぐに聞けるし?
「ねえ、この問題どの公式?」
「ん?どれ?」
萩乃介はシャーペンと自分がやっていた国語のプリントを置いて、私の隣に来た。
少しだけ、私と萩乃介の顔が近くなる。
こいつ、こんなに肌白かったっけ?こんなに睫毛長かった?
女装したら絶対私より綺麗。させてみる?
いや、駄目!それは女より綺麗とかは駄目。
「…どれ?」
「あっ、これ。問4の問題。」
「その問題は、この公式を応用して------」
ドンドン書かれていく数式の数々。私のノートは真っ白から真っ黒になった。
すべて萩乃介の字だけれど。
でも、わかりやすいのは確か。一つ一つ丁寧なのだ。
「へぇ〜、なるほど。流石だね。」
「だろ?じゃあ、教えてあげたお礼は?」
「お礼?あー、ありがとう。」
「もっと心こめて。」
「あ、ありがとう!」
「うーん、笑顔がイマイチ。」
アナタは何様ですか?と突っこみたくなった。いや、我慢。
萩乃介は気分屋だし。突っこみ方が甘いとまた何か言われる。
少なくともこの勉強中、萩乃介は神なのだ。救世主、メシアなのだ。
「さ。」
「ん?」
動いていたシャーペンを止め、じっと私を見つめる。
なんだよ、そんな見られると照れるじゃない。
「最近、綺麗になったよね。恋でもした?」
「へっ?!そっ、そう?」
「うん、恋でもした?」
そんな見られても…。恥ずかしい。
萩乃介の目は瞬きもせず、私を見ている。
部屋には沈黙が流れ、時計の―カチカチ―と言う音だけが響く。
「び、微妙…かな。」
「じゃあいるんだ。」
「は、萩乃介はどうなの?」
上手い私、必殺質問返し。萩乃介も少しは慌てたはず。
「いるよ。知りたい?」
「う、うん!
誰なの〜?あっ、亜裕美ちゃん?奈保子ちゃん?それとも---」
萩乃介の顔が一気に近付く。あと5センチでキスしてしまいそうな位。
チュッ
否、キスをした。
「正解はでした。」
顔が一気に赤面し、心臓がバクバク鳴る。静まれ、静まれ!
心臓は静まることは無く、五月蝿いまま。
萩乃介はニッコリ笑って、荷物をすべて鞄の中に入れる。
部屋のドアまでくると未だ動揺している私に言った。
「明日の朝、返事聞きにくるよ。
まぁ、返事は決まってるでしょ。未来のお嫁さん?」
( 馬鹿。話が早すぎ )
もう逃げられない
(否、逃げたくないのかもしれない。)
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久しぶりに小説書いた。
どうも最近スランプで困ります。
滝さん、やっぱり黒くなっちゃう;;
[07/04/20 piyo]
[09/01/01 修正]