夜の月と小さな歌声 「よし!集合!」 「「「はいっ!」」」 真田が声を掛けると部員が全員彼の側に駈け寄る。 そして彼が再び声を発した。 「今日の練習はこれで終了だ。 一・二年生はコート整備と後片付け! 三年とレギュラーはミーティングを行うので部室に集合しろ!」 真田はふと、校舎をみた。もう7時を過ぎている。 教室は真っ暗であってもおかしくない。現に、一年生から三年生までの教室は すべて電気が消えている。ついているのは精々職員室くらいだろうか。 と思ったが、一つの教室が目についた。校舎三階一番端にある教室。 「音楽室か。」 (そういえば、合唱部の大会が近かったかもしれん) 真田は気にしないでそのまま部室へと向った。 ◇ ミーティングが終わっても、まだ音楽室の明りは付いていた。 真田は隣にいた柳にその話題を振った。 「合唱部は今年は随分と精を入れているのだな。」 「合唱部?いきなりどうした。」 「いや、音楽室の明りがまだ灯っているだろう。」 「今日は合唱部の練習は無い筈だぞ。」 「そ、そうなのか。」 では何故明りが・・・?真田は不思議に思ったが言葉に出さず、 あとで一人で電気を消しに行こうと決意した。 「流石に不気味だな・・・。」 真田の声も廊下に響いてはすぐに消えた。 真っ暗な廊下。そこにある非常口の黄緑の明りが更に不気味さを増す。 目的の音楽室まではあと10M程。 「〜♪」 真田の耳に微かに歌声が聞こえた。 どこか落ち着く歌声。魅了させられる。 真田は数分、扉に耳を傾け歌を聴いた。そして扉を開ける。 キイっと重たい防音扉を開けるとそこには女子生徒が一人。 「!?」 女子生徒は吃驚したようでパチッと目を開け、謝る。 「ごめんなさい!もう帰宅時間ですよね!?今帰ります!」 真田を見ると慌てて鞄をつかんで音楽室から出て行った。 真田は唖然としたまま。どうやら教師を勘違いをされたらしい。 「む・・・。」 声をかけようにも掛けられず、仕方なく、 そのまま音楽室の電気を消すと真田も帰路に付いた。 次の日、真田は再び音楽室の扉を開ける。 彼女の歌を聞く為に。彼女の名を知るために。 ================ ◆拍手お礼夢[10/12〜1/5] 名前変換なくてゴメンなさい。