蛇足 イツからか、喧嘩をするようになった。 いつの間にか、それが楽しくなっていた。 「岳人の馬鹿!チビ。」 「なっ、お前チビは余計だっつーの!ぺチャパイ。」 「ぺチャパイも余計だっつーの!ミソ。」 「クソクソ!ミソとか誰から聞いたんだよ!?侑士か?」 下らない事で言い合って、じゃれあって、からかって。 喧嘩して、笑い合って、とても楽しい。 こうして岳人と少しでも喋れることがとても嬉しい。 どんな切っ掛けでも良い、岳人と話せれば。 岳人も嫌な顔を見せないから、きっと同じ気持ちじゃないかな なんて勘違いもしばしば。その勘違いも一種の楽しさだけれど。 「はあ。」 「どうしたの岳人。溜息吐いたら幸せ逃げるよ。」 「幸せなんて微塵も残ってねえし。」 「うわ、不幸のどん底にいるわけ?最悪。で、どんな悩みだい?」 「なんで俺に悩みがあるって分かったわけ?」 「溜息吐くって事は悩みがある証拠だよ。」 「そうか・・・はあ。」 岳人の視線は私の目を通り、 窓の外を通り、 岳人の横を通った女子を通り、 再び私の目にきた。 二度目の溜息。プラス思考のコイツが…珍しい。 「恋でもした?誰かに告白された?もしくは振られた?」 「は?!ななな、何言ってんだよ。」 図星。明らかに目が泳いでいる。 残念だ。私の淡い恋もこれで終了か。 「バレバレ。顔にそう書いてるよ。」 「……バレテたか。俺さ、好きな人できたっぽい。」 「よかったね。じゃ――」 「ちょ、待てよ! 相談なんだけどさ、 告白するなら直接とメールどっちが良いと思う?!」 「じゃあ電話。」 「項目に入ってないだろ。お前馬鹿か。」 「馬鹿は余計。大丈夫、チビより背が高いから頭良いよ。」 「勉強とチビは関係ないだろ!! ……電話か。そうか、電話か。」 「じゃあ、告白頑張れ。」 好きな人の恋を応援するって辛い。 今、岳人に笑顔を向けている自分はスゴイと我ながら感心する。 きっと明日岳人は満面の笑みを浮かべて私に話し掛けてくるんだ。 そしてまた余計なことを言うんだ。馬鹿とかぺチャパイとか。最悪。 「ああ、それと-----今日電話するから絶対出ろよ。」 「はいはい、わかったよ。チビ。」 告白の宣言とも知らず、また余計なことを言ってしまった自分は馬鹿だ。 それでも、カラッと笑っていた岳人は何よりも誰よりもカッコ良かった。 (蛇足:余計な物、事) ================ ◆拍手お礼夢[3/6〜5/20] 名前変換なくてゴメンなさい。