「これ、昨日のプリント。」
視線を合わせることもなく、ただ腕を伸ばして俺にプリントを差し出す。
俺はそんなの態度に若干の苛立ちを覚え、プリントを受け取らずに
ジッとの横顔を見た。彼女は宿題をするのに忙しいらしい。
右手でシャープペンシルを持ち、視線は教科書とノートの両方に向けている。
忙しそうにペンを走らせ、数式をずらーっと並べていく。
「早く取ってよ。」
再びは言葉を発す。同時に差し出したプリントをペラペラと動かす。
「あーわりい。さんきゅ。」
そのプリントを受け取り再び彼女の横顔を見た。
相変らず長い睫毛だこと、なんて感心してると、
その長い睫毛の持ち主のが横にいた俺を軽く睨みつけた。
「顔になにかついてる?」
「そんなに睨むなよ。ついてねーし。見てただけ。」
「じゃあ見ないでよ。不快だから。」
「可愛くねー女。」
「誉め言葉をありがとう。」
は嫌味たっぷりな笑顔を俺に向けた。
俺も負けずに「どーいたしまして」と皮肉たっぷりに言ってやった。
受け取ったプリントを読む。
『数学小テスト』と書かれたそれは、今週末にある小テストの
出題範囲や合格点を知らせるものだった。
どれも習ってる範囲だし、解からなくは無い。
(でも、俺は文系だからなー)
なんて思いながらチラリとを見る。
彼女は相変らずペンを動かすのに忙しそうだ。
俺はそのまま彼女を見ながら話しかけた。
「なあ」
の顔がこちらを向く。
「・・なに?」
長い睫毛をパチクリさせて俺を見る。
顔には「用が無いなら話し掛けるな」とでも書いてそうだが、
そんなことお構いナシに、俺の心臓は何度も見ているはずの
その瞳にドキドキしている。落ち着け、俺の心臓!
照れ隠しに右手で頬を少し掻き、
普段通りの素振りを心がけながら、話を切り出した。
「この小テストで勝負しね?」
彼女は怪訝な顔をしながら言う。
「丸井が数学で私に勝てると思ってるの?」
はフッと馬鹿にするように笑った。
「うっせ。今回は勝てる気がするんだよ。」
「ふーん、いいよ。」
「負けたら奢りな。」
「そう言って何度も奢ってるヒトはどこのどいつだか。」
「あーうるせえ!腹立つ女!」
「知ってる。」
「可愛くねえ!」
「ありがとう。」
は今までに無いほど皮肉たっぷりに笑う。
俺も負けずに「いーえ」と返すと、ガムと大きく膨らませた。
少 年 の 恋
(全く、どうしてこんな女に惚れたんだか)
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中学生の頃の男女のやり取りは
こんな捻くれた感じがほとんどで、
それがまた居心地良いんです。(多分)
[08/09/05 piyo]