(どうしよう、どうしよう)
は困っていた。目の前の光景に。
小さな騎士
毎週土曜日夕方、は駅の近くにある塾に通っている。
そこの駅は他の駅に比べ、かなり賑っており人通りも多い。
家に帰宅するものも居れば、これから夜のお仕事へ、という人もいるだろう。
勿論、唯単に屯(たむろ)っている若者もいる。
は塾を終え、帰路に着く途中だった。
塾の出入口のドアを開け、駅へと向う。その途中では必ずコンビニに立ち寄る。
何しろ成長期、家に着くまで腹が持たない食べ盛りなお年頃である。
コンビニでその日の気分によって、パンやお菓子、おにぎりなどを買っている。
毎回、同じ時間に来るので、
そこのコンビニのバイトのお姉さんとも仲良くなってしまった程である。
いつものように、コンビニに向っている途中だった。
駅からコンビニに向うまでには2つのルートがあった。
ひとつは、大きくて安全だが遠回りになる道路。
もうひとつは、狭いが、近道になる道路。は後者を利用していた。
狭くて車は1台しか通れない、すれ違う事は困難である。
しかし、人は簡単にすれ違えるし、近い、と言う事もありは愛用していた。
いつもなら、自分と同じように目的地まで急ぐ人が殆どなのだが、今日は違った。
前方に、なにやら沢山の人だかりがある。それも道を塞ぐかのように広がっている。
は顔を顰(しか)めた。
(ここを、通れというの?)
仕方ない、その集団と言うのはが最も苦手としているタイプのようだ。
茶髪に化粧(いわゆるヤマンバメイク)、腰パンに金髪、ピアスなど、
比較的学校では真面目(優等生)タイプのにとっては、接しがたい人たちである。
彼等とは知り合いな訳でも、同じ学校な訳でもない。しかし、非常に通り難い。
『すみません、通してください』とでも言えばいいのかも知れないのだが、
生憎にそこまでの根性や勇気は無い。
言ってみても『ぁあ?』と睨まれ、言い返されそうだ。
(芸人のクロちゃんのような声なら怖く無いのに)
そんなことを考える余裕があるだが、歩くスピードはバラバラである。
さっさと走って、勢いで横を抜けてみようか、
否、ココは引き返そうか、選択に迷っていた。
ちょっと駆け出せば、鞄の中を探る振りをして立ち止まってみたり、
傍から見れば奇妙な光景である。
「おい!お前なにやってんの?」
「きゃぁぁぁぁあ!ごめんなさい、ごめんなさい!」
突然声を掛けられ発狂する、しまいにはペコペコと謝っている。
(こいつ、なにやってんだ?)
が驚いたその声の主、それは紛れも無く、と同学年の丸井ブン太であった。
しかし、彼女はブン太だと言う事に気付いておらず、地面ばかりを見ている。
彼女の心理が理解できないブン太は状況が全く読み込めず、
どうすればいいか迷っていた。
(・・・・・どうしたんだ?こいつ)
「なぁ、お前・・・・だよな?」
「・・・はい、その通りで・・・・え?何で・・名前・・・?」
が顔をあげる。目の前にはブン太、益々動転してしまった。
「え?な(…んで)?ブ(…ブン太くんが)?こ(…こに居るの)?」
「お前、言えてねえよ。ちゃんと文にしろぃ。オレ、これから仁王の家行くんだよ。」
「あ・・・そうなんだ。」
「お前は?何してたんだ?変な行動とってたからつい声掛けちまったぜぃ。」
「わ・・・私は・・・・」
(どうしよう。ここで『あそこの集団の横を通るか通らないか迷ってた』
なんて、間抜けすぎて言えないよ。ウーン・・・と・・・・)
「ちょっと、コ・・・コンビニに行こうと思って!」
「ふーん。俺も丁度行く所だったんだよ。一緒に行こうぜぃ?」
「え?!う…うん!」
は行き成りの誘いにドキッとしたが、安堵の表情を浮かべた。
1人で通るのは怖くても、2人なら怖くない。
『赤信号 皆でわたれば怖くない』 それと同じである。
そそくさと歩き出すブン太の後ろをついて行く。
そして、彼らの横を通る。
*
(なんだ。なんもなかったじゃん、私なに心配してたんだろう。)
結局、ブン太と主に横を抜けたが無事(といっては変だが)何も無いままコンビニに到着した。
は無駄に心配していた自分を情けなく思った。
2人は近くの公園のブランコに座り、はコンビニで買ったメロンパンをほおばった。
隣ではブン太がブランコを軽く揺らしながらプリンを食べている。
(ブン太くんに感謝しなくちゃね)
―-勿論自分心の中で、そう思っていると
パチッ――
ブン太と目があった。
「なんだ?俺の顔になんかついてるか?」
「えっ!?イヤ、そんなこと無いよ。ただ、美味しそうに食べるなぁ〜って…!」
は咄嗟に嘘をついた。
否、ブン太が美味しそうに食べるのは事実であり嘘ではない。
咄嗟に誤魔化したの方が正しいだろうか。
「ふーん。なぁ、メロンパン俺に一口くれ!」
「え?こっ…これ?」
はメロンパンを指す。
「あぁ、それ以外に無いだろぃ?あっ、大丈夫俺のプリンも一口やるって!」
「いっ・・・いいよ別に!(そしたら関節キスになっちゃうじゃん!)」
「遠慮すんなって。貰うぜぃ?」
『いいよ』と言う前にブン太はのメロンパンを取り口に入れる。
「うめぇ!こんなメロンパン売ってたんだなぁ!」
「これ、私のお薦めだよ。おいしいでしょ?」
「嗚呼、俺も今度買ってみるわ。じゃぁ次、俺のプリン食べてみろぃ?はい、アーン。」
「へっ?あっ…アーン?」
「良いから、ほら口開けろぃ!」
ブン太がの口元までプリンを乗せたスプーンを持ってくる。
は仕方なく小さく口を開いた。
「あ・・ほひひー(おいしい)。」
「だろぃ?俺のお薦め。あー、俺今日ラッキーだわ!」
「何かイイ事あったの?」
が尋ねる。
するとブン太がブランコから立ち上がり、の目の前に立った。
「1つめ、このプリンが食べれたこと!」
「2つめ、に会えたこと!」
「3つめ・・・」
言い掛けるとブン太は先ほどのスプーンにプリンを乗せ、口に入れた。
「と間接キスができたこと!」
そう言うとブン太はニシシと笑った。
「・・・・恥ずかしいこといわないでよ。」
は少し赤らめ、ブン太に笑い返した。
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ブンちゃん、王子様仕立てで。
ぴよもそういう集団苦手です。
個人個人なら平気なんだけどね。
無駄に説明多い文でごめんなさい(謝罪
[06/10/26 piyo]
[07/04/26 一部修正]
[08/12/21 修正]