「あれ、?」
「その声- - - - 赤也?」
それは偶然のこと。本当にたまたま寄った喫茶店で私と赤也はたまたま出会った。
毎日通学途中に通っているけど、入ったことは無い洒落た雰囲気の喫茶店。
珈琲ももちろん美味しいが、紅茶や軽食もあり、男女問わず人気のお店。
値段もリーズナブルであり、一般人や大学生の他、
高校生や高齢者の利用者も多い。大きな窓から大通りが見え、
そこから手を繋ぎ幸せそうに歩くカップルや家路を急ぐサラリーマンも見える。
店内は白を基調としており、季節によって(春は若葉色、夏はスカイブルー、と)
イメージカラーを変える。そこもまた人気の秘密かもしれない。
今日、私はバイトまでに時間が1時間も余ってしまい、なんとなく寄っただけ。
「毎日繁盛している店だな〜」と思う程度で、今まで入ったことなど一度も無かった。
店のドアを開けるとカランと鈴の音が鳴った。
店員の「いらっしゃいませ」という声が聞こえた。
丁度空いていた窓側の大通りが見える席に座る。
ラッキーだ、ちょっとした特等席に座った気分。
「すみません、アイスコーヒー1つお願いします。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
店員にアイスコーヒーを1つ頼み、鞄から携帯を取り出すしテーブルの上に置く。
手帳を開き、バイトの時間を確認した。
「あと、50分もある。暇だなあ。」
ふう、とは溜息を一つし、携帯の横に手帳を置いた。
大通りに目をやると、丁度信号が青に変わったのか、一斉に人の群が動き出していた。
疲れた顔のサラリーマン、携帯電話を片手にセカセカと歩く男性、
制服を着こなす女子高生、沢山の紙袋を抱えた女性。
このなかに知り合いでも居たりしないのかな、は人の群をさっと見る。
どうやら知り合いらしき人はいないようだ。
それもそうだ、世の中人で溢れている。
偶然に偶然が重ならない限り街で会うことも無いだろう。
「お待たせしました、アイスコーヒーです。」
視界を窓の外からアイスコーヒーへと向ける。
透明なグラスに入ったコーヒーと氷、グラスと氷がぶつかってカコンと鳴った。
「ありがとうござ」
「あれ、?」
何故私の名前を?は不思議に思い店員の顔をまじまじと見る。
(どこかで逢った事がある、見覚えがある)
健康的な白さの肌、175センチ以上はあるであろう身長、釣り眉と三白眼。
「偶然だな、俺のこと覚えてる?立海大テニス部の。」
それにそのもじゃもじゃ頭と癖のある声。
「赤也?」
「ご名答〜。久しぶりだな。俺のこと覚えてた?」
「今思い出したよ。」
「うわっ、ひど!仮にも同じクラスだっただろ。」
赤也はわざと泣き顔を見せて、すぐに笑顔に戻した。
「ごめんごめん。あまりにも見違えるほど、かっこ良くなってたから、ね?」
「ヘヘッ、まあな。惚れたか?」
「バーカ。惚れません。いつからバイトしてるの?」
「うーん、かれこれ3ヶ月前から。」
「そうなんだ。毎日この店の前通るのに初めて知った!
まあ、そもそもこの店入るのが初めてなんだけどね。」
「マジか?誰かと待ち合わせ中とかでここに来たのか?」
「ううん、バイトまで時間があるから。」
「ふーん、あんさ、俺バイ「切原さん、店長が呼んでますよ!」
ゲッ、と赤也は顔を強張らした。
そしてそっと、私に耳打ちした。
「ここの店長、怒ると幸村先輩くらい怖いんだ。
あっ、のバイト終わったら俺に連絡してくれ。」
「でも、アドレスしらな---」
赤也はテーブルに置いてあった私の手帳のアドレスのページを開き、
自分の携帯番号とメールアドレスを書いた。
「じゃーな!」
ごゆっくり〜、とニコニコ笑い、店長であろう人の元へと行く赤也。
昔と変わらない、少し強引なところ。
は赤也の書いたアドレスをまじまじと見て、ふふっ、と微笑んだ。
「この店に入って良かったのかも」
まさかこんな所で逢うとは思っても見なかった。
たまたま寄った、なんとなく寄っただけなのに、
赤也に逢って、少しおしゃべりをして
アドレスまで交換してしまって。
静かに、かつての級友の背中を眺めた。
それは、偶然か運命か。
(不思議ね。封じていた想いが、込み上げてきたみたい。)
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多分、いつか付き合って、
ゴールインするんじゃないかと思います。
出会ってすぐビビッと来るタイプと、
数日、数年経ってから気付くタイプが有りますよね。
ヒロインは後者で、赤也は前者だといいな。
[07/04/09 piyo]
[08/12/28 修正]