「寒いね。」 「そうだな。」
「冬だね。」 「全くだな。」
「雪振るかな。」 「さあな。」
と赤也は教室の暖房機の横に机を並べて、窓の外を眺めていた。
季節はもう12月。窓の外では冷たい風吹いている。
校舎の横に堂々と立つ木木も、寒さに負けまいと必死に堪えている様である。
ビューっと冬風が吹くのを尻目に、と赤也は窓から机の上に視線を向けた。
「はー、何ページあるんだろ。」
「多分、20ページ以上。」
「・・・無理だし。」
二人の机の上に置いてある物は、大量のプリント。いわゆる宿題である。
はここ一週間、風邪ひき学校を休んでいた。
ただでさえ学校を一日休むだけで授業の理解度が変わってくる。
しかも、運が悪いことに再来週は期末試験。
今のままでは赤点の危険があるため、は担任に補習プリントをもらったのである。
しかし予想以上に量が多い、唯一の救いは赤也も(休んではいないが
理解していないということで)補習対象ということである。
「全く、英語なんて将来使わなくね?もそう思うだろ?」
「そう?プロテニスプレイヤーになるなら使えた方が良いんじゃない?
「言葉の壁なんて俺にはねーし。」
が教科書を見ながら理科のプリントに書き込みをする。
赤也は自身の髪をぐしゃっと掴みながら必死にうめいている。
手元には“天敵”英語のテキスト。
「ー、全くわかんねー。」
「頑張れー。」
「教えて?」
「帰りにコンビニでプリン。」
「・・・チッ。自力で頑張るよ。」
時刻は6時を回ろうとしている。しかし、各部活も一向に終わる気配が無い。
耳を澄ませば、「ファイトー」と野球部やサッカー部、テニス部の掛け声が聞こえる。
これまでの格闘の結果、理科と数学のプリントを終わらせたは再び窓の外を見た。
先程までは明るかった空も、いつの間にか真っ暗。闇に包まれ、
風だけが相変わらずビューッと窓を叩く。
「赤也、見て。外真っ暗。」
「んあ?……うわー、もうこんな暗いのかよ。」
「寒いかな?」
「寒いに決まってるだろ。冬だし。」
あーわかんねえ、そう言って赤也はまたプリントに手をつけた。
「赤也英語終わった?」
「終わらせた。強制終了ってやつ。」
「赤点取ったら罰ゲームね。」
「は?なんでよ。」
「あれ、自信ないの〜?」
「二年生エースをなめんな!も赤点取ったら罰ゲームな。」
「あたしは赤也より点数上の予定だから。」
「負けねえし。よし、勝負だ!
が負けたら一日俺のパシリな。」
「いいよ、赤也が負けたら――――」
あたしと付き合って
「……何だよ。」
「んーん!なんでもない。ヒミツ!。」
「お楽しみってやつかよ。」
廊下が騒がしくなる。おそらく部活を終えた生徒が廊下で話しているのだろう。
と赤也は時計を見た。
「やべぇ!もう7時じゃん!帰るぞ。」
「え、どうしたの?!」
「このままだと真田副部長に『たるんどる!』って怒鳴られる!」
「だからってあたしまで・・・・」
「お前は運命共同体だ!」
◇
玄関を出ると冷たい風が二人の間を吹き抜ける。
「寒いー。」
「当り前だろ、冬だし。」
「赤也さっきもそんな事言ってたよ。」
「そうかー?」
赤也はそう言ったきり一向に動こうとしない。
は横に立つ赤也を見上げた。
「赤也、帰らないの?」
「いや、帰る。」
「じゃあ途中まで一緒に帰ろう。寒いから早く帰りたい。」
「じゃあ――――
こうしたら寒くねえだろ?」
赤也はの手をとりぎゅっと握り締めた。
細く小さいの手をゴツゴツした大きい赤也の手が包む。
は驚きのあまりに息をするのも忘れた。赤也の顔を見上げる。
名前にぴったりな赤い顔は紛れも無く、恥ずかしい証。
は手を握り返し、歩き始めた。
赤也もを追うようにして歩き出す。
赤也が丁度横にきたとき、はその赤い顔を見て言った。
「あたし、あったかいから早く帰らなくてもいいかも。」
温かいのは、僕の手でも君の手でもなく、
君の心。
手を繋いだら
(大好きな貴方の愛情を感じました。)
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12月なんて大分前のことなのに…;;
赤也とラブラブしたかったんです。
手が温かい人は素敵です。
[07/01/27 piyo]
[08/12/28 修正]