ポストマン


「郵便です。」


のもとに届いたのは、一通の白い封筒。そう、真っ白なのだ。

小花柄や愛らしいキャラクター、あるいはストライプやドット柄など

一切の装飾はなく、ただの紙とも袋とも言える白色の手紙。


は“様”と筆文字で(それもかなり達筆に)書かれた表面を見、

ゆっくりと裏返して裏面に書かれた送り主を見た。

その名を見て、思わず笑みがこぼれる。





“真田弦一郎”






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 様


 厳しい寒さの続く中、いかがお過ごしでしょうか。

 が大阪へ転校して早半年。そちらでの生活には慣れただろうか。

 否、の事だから元気でやっていると思っている。

 俺達テニス部は次の大会で全勝するべく、日々鍛えているところだ。

 部員も皆、やる気満々のようで素晴らしいことに一週間連続欠席者なしだ。

 もっとも、幸村の圧力が凄いのだが・・・まあ、そんなことは置いておこう。

 最近、神奈川では気温の変化が激しい毎日が続いている。

 天気も安定せず、恥ずかしい事ながら俺も風邪気味だ。

 大阪の気候や天候はわからぬが、も風邪をひかぬよう気をつけろ。

 長くなったが、ここで終わりとする。


 真田弦一郎より


 追記;急に手紙を出したのは幸村の薦めだ。
    女の子は手紙を貰うと嬉しいと聞いたのだが…もそうなのか?

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「律儀な彼氏やなあ。」




蔵ノ介は机の上に置いてあったポッキーの袋を開けると一本口へ運んだ。


「ちゃんも食うか?」

「いや、いい。」


はポッキーを断り、手紙にジッと視線を落とす。

もう一度、その文面を読み返した。

自然と気分が和んだ。何度見ても嬉しくなる、優しくなる。

顔が綻(ほこ)んでいるのが自分でもよくわかる。


「なんやえらい嬉しそうやん。」

「だって嬉しいんだもん。」

「ほんま、ようできた彼氏サンやな。」


蔵ノ介はの机の上を見た。幾つかの封筒が置いてある。

全てが白く無地のもの。至ってシンプルだ。どうやらの手元にあるのも同じ様。

手紙を読み返したが蔵ノ介に言った。


「どう?私の彼氏。」

「まさかあの真田だとは思わへんかった。しかも相当らぶらぶなようで。」

「まあね。」


は自慢げに蔵ノ介に言葉を返した。

そして今朝来た手紙を取り出し、丁寧に封を開けた。

それを見た蔵ノ介は微笑して言う。ついでにポッキーをもう一本頬張った。


「その手紙も真田クンから?」

「そう。3日前に返事書いたばっかりなのに。」


は苦笑した。だが、その笑顔は幸せそうだ。




急に、真田から手紙が来てから1ヶ月。

と真田の手紙交換は絶え間なく続いていた。

初めて遠距離恋愛中の真田から手紙が来た時、はすぐに返事を書いた。

普段からメールや電話も出来るが、手紙には手紙で返したい。

そんな気持ちから心をこめて返事を書いたであった。

手紙をポストに入れてから5日後。直ぐに真田からの返事が来た。

部活や勉強で忙しいはずなのにどこで手紙を書く時間があるのか、

は疑問に思いつつあるが、嬉しいことに変わりは無い。

そして返事を返す。


こういったやりとりがずっと続いている。




「マメなんやな。俺には無理やわ。」

「弦一郎だから出来るのよ。本人も結構楽しいみたい。」


は届いた手紙を読み終えると早速返事を書くべく

カバンからレターセットを取り出した。用意周到である。

ポツリ、とが言葉を発した。


「今じゃね、」

「ん。」

「今じゃ郵便配達員を見るだけで嬉しくなるんだ。
 もしかしたらカバンの中に弦一郎の手紙が入ってるかも、って。」



えへへ、とが惚気た。


そしてペンを走らせる。




「えっと、真田弦一郎様・・・っと。」



その笑みを幸せを全てを手紙にこめて。







































真田の出番なし・・・(苦笑)