いくらアイツが鈍感で鈍くて疎くても やっぱり俺は惚れてしまったみたいなんだな、って実感する。 甘酸っぱい恋。青春。そんな言葉が相応しい俺の恋心。 そして何故か通じない俺の思い。 はにかんだアイツ 「!明日誕生日だよね?なに欲しい!?」 これは、昼休み、俺の隣で飯を食っているの発言。 この台詞に俺の耳は大きく反応した。 (の誕生日が近い!?) 俺としたことが!何と言う失態! というかそもそも、俺はの誕生日は知らなくて、今回が初耳な訳なんだけれど。 これはプレゼントとか何かあげるべきだよな?ああ、あげるべきだ。 そしたらもちょっとは意識するだろ。俺は自問自答する。 俺の片思いの相手のは、中々強敵で、俺の必死のアプローチにも気がつかないという ものすごいニブチンであったりする。 どのくらいニブチンかって?そうだな。今までのことなら が登校してきたら、毎朝「おっす!はよ!」って挨拶をきめてみる。 もちろん帰りは「じゃあな!」と爽やかにきめてみる。笑顔も忘れない。 大抵の女子なら少しはドキッとするだろう。と、俺は予想していた。 ところがどうだ。のヤツ、「あー、おはよう。元気だねえ。」「あー、ばいばい。」だの 反応がイマイチ・・・。 もう一つある。 それは最近あった体育祭でのこと。 はドッヂボール競技に出るらしく、俺は競技前に言ったんだ。 「俺、の事めっちゃ応援してるぜ!絶対勝てよ!」 「ありがとう。私以外のクラスの皆も応援してね。」 って笑顔で言いやがった。そうじゃねえだろ!って突っこんじまったよ。心の中で。 でもまあ、その笑顔もやっぱり可愛くてトキメイタのは事実なんだけど。 (って、俺女々しいな……) 俺は再びとの会話を聞く。 「欲しいもの?んー特に無い。」 「じゃああげない。」 「え?!ヤダそれは。じゃあケーキバイキング連れって。の奢りでv」 「安い店探しとく。」 そこで「アクセが欲しいの」だとか言ってくれればいいもの、花より団子かよ。 じゃあ俺も食べ物でもあげるべきか?いや、でも形に残る物の方がいいのか? やっぱ無難にアクセサリーだろうか。ああ!迷う!! ◆◆ 日というのはあっと言う間に経つもので、の誕生日になってしまった。 昨日は部活後なにか買いに行こうとするも疲れてバタンキュー。 1時間寝たら買いに行こうと思ったら、あっと言う間に午前8時。日付が変わってしまい おまけに朝練にも遅刻決定。最悪。 そして慌てて学校に来た俺。もちろんプレゼントなんて買っているわけもなく、 ああ、どうしようと心を悩ませていた。 朝学校に着けばがプレゼントを渡していて、 もえへへと笑って、受け取っていて。 俺も何かあげたい!なんて焦燥にかられた。 そこにパッと思いついたのは平凡な俺の脳がフル回転した結果。 慌てて階段を下り、玄関前にある購買へと向う。 「おばちゃん!一番の大きいプリン1つ!」 * 階段を上り、自分の教室へ戻る。 勢い良く教室に入れば、クラスメートたちはいつものように雑談をしていて、 誰も俺が思いっきり教室に入ってきたことには気付いていないようだった。 さり気無く、の机の近くに歩み寄る。 幸い、邪魔をされそうな女子もも茶化す男子も周りに居なく、 はひとりで本を読んでいた。俺は話しかけた。あくまで、自然に。 「。今日誕生日なんだろ?」 「あ、切原。うん。そうなんだ。」 が本から目線を逸らし俺の方を見る。 バッチリと目が合った。やべえ。緊張する。ドキドキしてきた! 落ち着け俺、ただプリンを渡すだけだろ?自然に、自然に。 「ここ、これ、朝買ったんだけど・・・やるよ」 「え?くれるの?」 「俺からの誕生日プレゼント。貰っとけ。」 よっしゃ!俺よくやった!超自然じゃね?今の凄いナチュラルだったよな! ああ、やべえよ。今、俺の心臓は酷く激しく波打っている。 はプリンを手に取り、俺を真直ぐ見る。 そうしてはにかんで言った。 「ありがとう!すごいうれしい。」 はにかんだ彼女の笑顔はものすごく、そりゃもうものすごく可愛くて、 ますます、のことが好きになってしまった。 (ああ俺死んでもいいほど幸せかも) ('07 赤也誕生記念『ハ』)